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2)『結露環境下におけるイオンマイグレーションの一考察』

〜第9回 回路実装学術講演大会 にて発表〜

1.はじめに

 近年、機器の小形化、低コスト化に伴う高密度実装への動きと、フロン規制による代替洗浄、無洗浄化の動きにあいまって最近特に注目されているイオンマイグレーションによると思われる絶縁劣化現象など新たな電気的信頼性の確認が必要になっている。

 本報告はイオンマイグレーションの発生要因の一つである結露現象に着目し、市場で機器が遭遇するであろう結露/乾燥を繰り返す環境下において、機器の主要部品であるプリント配線板に対し検討したので以下に報告をする。

2.結露条件の検討

 結露は図1のように低温雰囲気から高温雰囲気に変化する過程において、供試品温度が周囲の温度変化に追従できずに遅れて供試品温度が高温雰囲気の露点温度に到達する迄の時間(t2、−t1)結露が発生する。

 このように結露は低温雰囲気から高温雰囲気に変化すればどのような温度領域においても発生することになる。本試験では市場で機器が遭遇するであろう結露環境を想定し、低温雰囲気から高温雰囲気へ温度変化をさせた時の供試品表面の結露量と、最適結露条件におけるプリント配線板のパターン近傍の結露状態を観測し同時にパターン間のリーク電流を連続的に測定を行った。

図1:結露のメカニズム
■図1:結露のメカニズム

2.1 環境条件と結露量

 市場で機器が遭遇するであろう環境として表1のように、高温雰囲気を固定し低温雰囲気を変化させたモード(寒冷地環境のシミュレーション)と低温雰囲気を固定し高温雰囲気を変化させたモード(熱帯地環境のシミュレーション)以上2つの異なる結露環境モードで試験を行った。図2にその試験結果を示す。

 本測定においては供試品として吸湿のないガラス板を使用し、電子天秤にて直接結露水の重量を測定した。図2からも明らかなように、同じ温度差であっても結露環境モードの違いにより結露量が大きく異なる事、また結露した水滴のサイズを比べても、寒冷地環境シミュレーションモードの水滴サイズが小さく密に分布しているのに対し、熱帯環境シミュレーションモードの水滴サイズは大きく一面に付着する事が観測された。

図2:結露環境モードと結露量の関係
■図2:結露環境モードと結露量の関係


低温雰囲気 高温雰囲気
1 寒冷地環境シミュレーションモード 0℃ 26℃*50%RH 一定
−10℃
−20℃
−30℃
2 熱帯地環境シミュレーションモード 26℃*50%RH 一定 +40℃*95%RH
+60℃*95%RH
+70℃*95%RH
■表1 結露環境モード


2.2 最適結露条件の検討

 結露量の試験結果を基に、実際のプリント配線板を使用して、パターン近傍の水滴がパターンをまたがらず密に分布する結露環境条件を決定する為、表2の条件で試験を行った。表2に合わせて試験結果を示す。

 図3に最適結露条件におけるプリント配線板の表面状態の写真を示す。結露した水滴は時間とともに水滴同士が結合し、今回の試験では5分後にピークをむかえるが、その後徐々に乾燥し消失する。

 図4はその時のプリント配線板のパターン間の絶縁抵抗を連続的に測定した物である。結露/乾燥の変化に追従して絶縁抵抗値も変化する事が観測された。

図3:最適条件における基板の表面状態
■図3:最適条件における基板の表面状態


結露環境条件 水滴サイズ パターン間の水滴占有率
0℃→20℃*95%RH 0.13mm 35%
5℃→20℃*95%RH 0.08mm 20%
5℃→25℃*95%RH 0.13mm 38%
20℃→40℃*95%RH 0.40mm 95%
20℃→60℃*95%RH 0.50mm 100%
■表2:試験パラメータと結果

注)プリント配線のパターン間隔は0.318mm、水滴占有率が40%以上でパターン間をまたがる。


図4:結露/乾燥における基板の絶縁抵抗変化
■図4:結露/乾燥における基板の絶縁抵抗変化


3.結露サイクル試験におけるイオンマイグレーション

 前記の結果から得られた最適結露条件を基に、クシ型電極基板にフラックスを塗布し結露/乾燥を繰り返す結露サイクル試験を行った。表3に試験条件、図5に結露サイクル試験後の基板の表面状態を示す。

環境条件 +5℃〜25℃*95%RH 繰り返し
試験サイクル 40サイクル(約27時間)
試験基板 IPC クシ型 Type.B
基板材質 ガラスエポキシ(FR4)
フラックス RMA
印加電圧 DC 5V
■表3:結露サイクル試験条件

図5:試験後の基板の表面状態
■図5:試験後の基板の表面状態


4.まとめ

1) 結露量は結露時の温度差(△t)と相関があり温度差が大きい程多くなる傾向がある。
2) 低温から常温常湿に変化させた時の結露は基板のパターンをまたがらずに密に分布した。今回の試験で得られた最適結露条件は+5〜+25℃*95%RHであった。
3) 上記条件にて結露サイクル試験を行った結果、短時間で絶縁抵抗の劣化に伴いイオンマイグレーションが観察された。


<参考文献>
1)小林、松本:楠本化成(株) 『イオンマイグレーションの簡易測定方法』
第6回 信頼性学会 信頼性シンポジウム
2)金井:松下通信工業(株) 『イオンマイグレーション試験方法に関する一考察』
第24回 信頼性・保全性シンポジウム

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