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3)『新しい接合信頼性評価の一考察〜微小抵抗自動測定による〜』

〜第10回 回路実装学術講演大会 にて発表〜

1.まえがき

 電子部品の高密度化が進み、発熱や熱歪みなどの熱的要因による接合故障が広い分野で数多く見られるようになってきている。部品の多層化、立体集積化が進み高密度実装された電子部品では、発熱や熱歪みなどの不良の問題の解決が、高密度化、小型化の促進の鍵となっている。
 従来のはんだ接合不良の検査は単一的な抵抗値の測定と、目視による方法が主流であった。最近では画像処理により接合部の形状を測定する方法も開発されてきているが、定量的なデータ解析により接合状態の解析を行うという面では不十分である。また、測定が接合不良を起こす熱環境温度下でなく室温下で行われていることも不良原因を解析するには問題が多い状態である。

 本報告は熱的原因に起因する接合故障の信頼性評価の一方法として、熱的環境下で接合部の微小抵抗を直接測定する方法について述べる。

2.接合故障信頼性評価に求められる要件

 熱的環境下で接合故障の信頼性評価を実施するにあたって、システム機器に求められる最低限の要件をまとめると下記のようになる。

 以上の接合故障信頼性評価の要件を満足させるシステムの開発を行い、実際に評価を行った結果、満足するデータを得る事ができた。

(1) 熱ストレスを供試品に対して均一にかけられる環境試験器がある。
(2) 環境試験器の槽内で供試品の測定ができる計測システムがある。
(3) 高精度で、信頼性の高い微小抵抗測定ができる。
(4) 抵抗測定と同時に環境試験器の温度変化の状態も測定できるシステムでなければならない。
(5) 異なる種類の試験が同時にできる。
(6) 計測処理と収録データ処理が同時にできる。
(7) 多点でデータ計測ができるシステムである。
(8) 試験条件設定から計測データ処理までの一連の操作が自動化されたシステムであること。


3.評価システムの概要

 図1のように計測部と制御部で構成されている。計測部は下記の3点のボードから成り立っている。

(1) 測定チャンネルを切り替えるスキャナボード
(2) 微小抵抗を測定するmΩ測定ボード
(3) 上記2点をコントロールするSBCボード

 制御部はパソコンで構成し、試験条件の設定と管理、収録データの蓄積、データ処理などを行う。微小抵抗測定ではケーブルや端子などの測定材料の抵抗値の影響を考慮せねばならない。本システムではその影響を少なくするために四端子測定法を用いた。

図1:システム構成図
■図1:システム構成図

4.はんだ接合信頼性評価の一例

 はんだ接合部は、熱疲労や振動で発生するはんだ割れで強度低下・電気特性に不具合を起こす。その評価においても微小抵抗の測定を行い、変動の状況を確認し実際の供試品と突き合わせる事で定量性のデータを得ることができると考えた。試験は図2に示すような供試品を用いた。コネクタピンの箇所にはんだを所定量だけ塗布し、図のような配線を行うことで、挿入部品の実装における接合信頼性の評価を行った。本試験では、−35℃と125℃(各30分)の試験条件で測定を行った。

図2:はんだ接合評価用供試品の模式図

評価供試品の構成
評価用はんだ Sn60%、Pb40%共昌はんだ
はんだ量 9mg
基板 紙フェノール基板
コネクタ 66ナイロン
コネクタピン 真ちゅう
■図2:はんだ接合評価用供試品の模式図と構成


 試験結果、図3が得られた。供試品の抵抗変化は、高温試験時で500サイクルを過ぎた時点に表れているのがわかる。低温時にはそれほどの変化は見えず700サイクルを超した時点でわずかな変化が表れている。これは接合部の膨張収縮の繰り返しがクラック発生となる過程として観察できる。さらに低温試験時には、はんだ割れ発生後も接合部の収縮で抵抗値が低くなっているのもわかる。
 上記より、はんだ接合評価での抵抗測定は高温試験時に行って意味あるものといえる。常温下の測定では接合変化状況を正確に把握できない。

図3:温度サイクル試験での供試品の抵抗値測定結果

■図3:温度サイクル試験での供試品の抵抗値測定結果


 図5の写真は、はんだ接合面を初期段階から500サイクルを超すまで接合部断面の観察を行ったものである。写真より500サイクルまでは形状には全く変化が見られず、抵抗データで変化が表れる。560サイクルで割れが発生し抵抗値オープン時に完全分離していることがわかる。すなわち、はんだ割れの割合と抵抗値変化との間に強い相関が見られる。
 また、同一供試品に対して接合強度試験を行ったデータと本データを重ね合わせると、図4に見るようにはんだ割れ以降、急激に強度が低下しているのがわかる。

図4:はんだの接合強度とはんだ割れの比較

■図4:はんだの接合強度とはんだ割れの比較


初期状態 500サイクル時の状態 560サイクル時の状態 583サイクル時の状態
初期状態 500サイクル時の状態 560サイクル時の状態 583サイクル時の状態
■図5:温度サイクル試験での供試品の変化状態


4.まとめ

1)

はんだ接合評価においては環境ストレス下で抵抗値の測定を行うことに意義がある。特に高温試験時に測定を行うことで供試品の変化の状況が正確に把握できる。

2)

はんだ割れの発生度合いを抵抗値の測定によって求めることが確認できた。

 今後は、はんだの種類や量を変えて試験を行い上記内容について精度の高いバックデータを取得していく予定である。さらに、表面実装部品でのはんだ接合評価についても試験方法を検討していく。


<参考文献>
駒井・谷口 『はんだ接合部の熱疲労試験方法の検討』
第25回 信頼性・保全性シンポジウム 1995年7月 p.21

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